2019年01月04日

書籍: 特許情報調査と検索テクニック入門


 
特許情報調査の基礎知識と検索テクニックを解説した一冊。
転職活動の中で興味を持ったため購入。
 
400ページという多めのボリュームでありながら、一貫して平易な文章、身近な例示、丁寧な解説が行われるため非常に読みやすい。専門外の人が特許調査業務の概要・実務の流れを把握するには非常に良い書籍と思われる。
 
---- 概要 ----
・特許の基礎知識 (基本・種類・特徴など)
・特許の制度概要 (日本の制度、海外出願ルート、広報発行のタイミングなど)
・特許調査の概要 (目的・フェーズ・種類など)
・特許情報調査の具体的な進め方 (DB種別、検索法、読み方、調査結果のまとめ方など)
・特許情報調査スキルを継続的に磨くための方法
 
---- 私の所感 ----
■特許調査業務の将来について
今後は検索技術の比重が下がり、ビジネス分析・提言の比重が高まってゆくのではないだろうか。
 
日本の公共特許DBには Google や Amazon ほどのあいまい検索力がなく、「バイク OR 自動二輪 OR オートバイ」といった形で明示的にあいまい語を指定する必要があるとのこと。一般企業と異なり、公共機関にはそのような点を改善するインセンティブが小さいため、この状況は続くことが予想される。そしてそのために検索能力は、特許調査技術の重要な要素となり続けるだろうと感じた (民間の特許DBが改善されないのは、新規参入や競争が緩やかな業界であるためだろうか)
 
一方で、長期的な視点では検索精度の問題は解消するはずである。すると情報の抽出よりも加工、検索結果を元にした競合他社のビジネス戦略分析や自社の戦略提言などの比重が高まってくるものと思われる。検索技術は、比重が下がるものの、検索結果が十分に周辺ワードを拾えているのかを検証するという点で一定の価値が残りそうである。
 
■特許自体の将来について
特許によって技術者・企業が保護されるため発明が活性化するという論理は理解できる。一方で Open Source Software(OSS)など、開発した新技術は世界中で共有し、その先のビジネスで差をつけようという動きもある (例えば Amazon の顧客数は大きいため、そのデータを元にしたレコメンドに他社が対抗することは難しいなど)。個人の視点では前者が好ましいが、人類全体の発展という視点では後者の方が望ましいのではないか。その意味で、将来的には新しい特許の形が設計されるのではないかと感じた。
 
-- 著者の野崎篤志氏について ---
同氏は知財業界で著名な方の様で、Google検索すると数々のインタビュー記事、ブログ記事、公演、書籍Youtube動画などがヒットする。私が特に共感を覚えた記事は以下。
 
『知財コンサルタント野崎篤志×IPFbiz 〜知的財産のコンサル・アナリストとは〜』
http://ipfbiz.com/archives/nozaki.html
 
Twitterでも積極的に情報発信をしているようなので、今後もキャッチアップしてゆきたい。
『Twitter - Atsushi Nozaki - IP information architect』
https://twitter.com/conductor_hvk
 
posted by Takashi Inoue at 16:55| Comment(0) | 書籍

書籍: データサイエンティスト養成読本


 
MBAデータサイエンスの教科書として指定された一冊。
 
機械学習を実務利用している方々(Preferred Networks社、Gunosy社、トヨタ社などの所属)による解説本。
 
機械学習の歴史・今後の展望など広い視野の記事もあり、理論的背景を簡単に紹介する記事もあり、Pythonのインストール方法から始まってプログラムを1行ずつ解説する記事もあり、ビジネス上の典型的な落とし穴や対策の話もあり、非常にバランスよく記事が散りばめられている。
 
また、要求される前提知識も少なく、何らかのプログラミング経験と、大学1〜2年程度の数学の知識があれば、1日程度でスイスイと気持ちよく読めるはず。
 
私自身が IoT SaaS Telematics で分析サービスを立ち上げていた際に、事前にこれを1冊読んでいれば、機械学習によるソリューションも加えられたのに、、、と悔しさを覚えた。
 
機械学習入門の一冊目としておすすめの良書。
 
-- 目次 --
・機械学習の概要 (基礎知識、Q&A、歴史と今後の見通し)
・機械学習のビジネス適用例・簡易実装例 (深層学習(DeepLearning)以外)
・機械学習のビジネス適用例・簡易実装例 (深層学習(DeepLearning))
・機械学習ツール類の外観 (プログラム言語、サービス、システム)
・Pythonで機械学習を実行する (Pythonのインストールから実装まで)
・機械学習による推薦システム (基礎知識、チューニングの基本、応用の方向性)
・機械学習による画像認識 (基礎知識、チューニングの基本、応用の方向性)
・機械学習による異常検知 (基礎知識、チューニングの基本、応用の方向性)
 
 
posted by Takashi Inoue at 15:21| Comment(0) | 書籍

2018年12月25日

書籍: 仕事ではじめる機械学習



MBAデータサイエンスの教科書として指定された一冊。

本書は機械学習の書籍ではあるが、理論的背景よりも適用方法や実装方法などの、ビジネス的な観点での記載が充実している。例えば以下のようなものである。

・機械学習を利用したプロジェクトにはどのような工程があるか
・機械学習のアルゴリズムにはどのような選択肢があるか
・プロジェクトで起こりがちなミスと対策は何か
・データをどのように収集するか
・どのように分析を進めるか
・どのようにレポートにまとめるか

また、後半3章では以下の実例が示される。

・映画のレコメンドシステムを作る
・クラウドファンディングサイトを分析して、成功率を高めるための知見を得る
・自社マーケティングの分析と改善

実例はデータ、Pythonコード、PPTレポートが示されており、自分の業務へ応用もしやすい造りになっている。データサイエンティストの業務がイメージできる良書である。

■目次
1. 機械学習プロジェクトのはじめかた

2. 機械学習で何が出来る?
2-1. どのアルゴリズムをえらぶべきか
2-2. 分類(パーセプトロン、ロジスティック回帰、SVM、ニューラルネットワーク,k-NN,決定木,ランダムフォレスト,GBDT)
2-3. 回帰
2-4. クラスタリング・次元削減
2-5. その他

3. 学習結果を評価しよう
4. システムに機械学習を組み込む
5. 学習のためのリソースを収集しよう
6. 効果検証

7. 映画の推薦システムを作る
8. Kickstarterの分析、機械学習を使わないという選択肢
9. Uplift Modelindによるマーケティング資源の効率化
posted by Takashi Inoue at 22:05| Comment(0) | 書籍

2018年09月28日

書籍: ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則


 
平凡な企業が、卓越した企業に変化したケースを分析した一冊。
原題は「Good to Great」
 
スタンフォード大学の研究チームが5年に渡る調査を経て発表した内容であり、
幅広いデータ郡から抽出した企業に対して、非常に丁寧な調査が行われている。
分析のフェーズでは、可能な限り先入観を排除し、定量的な判断となるよう配慮されている。
 
調査の要点は以下の通り。
 
・適切な人材が集まることが最重要
 経営者が適切な人材であり、また採用でも妥協していない。
 
・適切な人材とは、技能・年齢・学歴・職歴などではなく
 性格・人柄・価値観・基礎的能力で決まる。
 
・適切な人材には全体最適の価値観がある。
 個人の短期的な名声よりも、組織全体の永続的な発展を目指す。
 そのため、派手ではなく謙虚だが強い熱意を持つ人物である。
 
・適切な人材が集まった後で、進む方向を決める。
 価値観が揃っていれば、行き先変更は大した問題にはならない。
 
・適切な人材が集まれば、管理作業やモチベーション向上施策
 などは不要で、やるべきことにより専念できる。
 
・適切な人材を集まれば、建設的かつ徹底的に議論ができるため、
 組織・各人のやるべきことが明確になる。納得感があるため実行力が高く、
 状況が良くなってくるとモチベーションが高まって加速してゆく。

・報酬制度は、適切な人材にとどまり続けてもらうために存在する。
 
調査結果は日本文化的な美徳とも相性が良く、読んでいて非常に気持ち良い。
私自身が始めてこの本を読んだ時にはピンとこなかったが、
その後に異動や転職を経て様々な環境を経験した結果、
納得・共感できる部分が非常に多くなっていた。
 
もしかすると、起業することのメリットの一つは人なのかもしれない。
価値観の合う信頼できる人たちを自分で選び、
多くの時間を共に過ごしてゆくことは、やはり幸せなことではないだろうか。
タグ:書籍 MBA
posted by Takashi Inoue at 13:07| Comment(0) | 書籍

2016年10月11日

書籍: 人を動かす


 
大学院(MBA)の課題図書となっていた一冊。
 
Amazonでは「あらゆる自己啓発書の原点となった不朽の名著」と紹介されている。
誤解を招きそうな邦題が付けられているが、内容は誠実なものが中心。
 
--- 以下、個人的な所感 ---
 
MBA的な理論・論理も重要だが、それを実行するのは人間であり、
人間はどこまでいっても感情の動物である。結果が全てという人も
無自覚に感情に振り回されている。
 
大きな成功も、大きな失敗も、感情に振り回された人間の営みの中から生まれる。
そうであるならば、もっとも重要なことは、感情を上手く伝えあい、制御することである。
 
言葉は万能なようで、実はそうでもない。
伝えたいことがあっても、言葉にすると取りこぼしてしまう部分がある。
順番に伝えることしか出来ないため、早とちりされてしまうこともある。
誤解を生じることだってある。
  
だから、表情・言葉・行動は意識的に丁寧にしてゆかねばならない。
少し立ち止まってから行動すれば、多くの問題を防ぐことが出来る。
少し立ち止まってから行動すれば、幸せに、多くのことを成し遂げることが出来る。
 
posted by Takashi Inoue at 00:08| Comment(0) | 書籍