2018年09月28日

書籍: ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則


 
平凡な企業が、卓越した企業に変化したケースを分析した一冊。
原題は「Good to Great」
 
スタンフォード大学の研究チームが5年に渡る調査を経て発表した内容であり、
幅広いデータ郡から抽出した企業に対して、非常に丁寧な調査が行われている。
分析のフェーズでは、可能な限り先入観を排除し、定量的な判断となるよう配慮されている。
 
調査の要点は以下の通り。
 
・適切な人材が集まることが最重要
 経営者が適切な人材であり、また採用でも妥協していない。
 
・適切な人材とは、技能・年齢・学歴・職歴などではなく
 性格・人柄・価値観・基礎的能力で決まる。
 
・適切な人材には全体最適の価値観がある。
 個人の短期的な名声よりも、組織全体の永続的な発展を目指す。
 そのため、派手ではなく謙虚だが強い熱意を持つ人物である。
 
・適切な人材が集まった後で、進む方向を決める。
 価値観が揃っていれば、行き先変更は大した問題にはならない。
 
・適切な人材が集まれば、管理作業やモチベーション向上施策
 などは不要で、やるべきことにより専念できる。
 
・適切な人材を集まれば、建設的かつ徹底的に議論ができるため、
 組織・各人のやるべきことが明確になる。納得感があるため実行力が高く、
 状況が良くなってくるとモチベーションが高まって加速してゆく。

・報酬制度は、適切な人材にとどまり続けてもらうために存在する。
 
調査結果は日本文化的な美徳とも相性が良く、読んでいて非常に気持ち良い。
私自身が始めてこの本を読んだ時にはピンとこなかったが、
その後に異動や転職を経て様々な環境を経験した結果、
納得・共感できる部分が非常に多くなっていた。
 
もしかすると、起業することのメリットの一つは人なのかもしれない。
価値観の合う信頼できる人たちを自分で選び、
多くの時間を共に過ごしてゆくことは、やはり幸せなことではないだろうか。
タグ:書籍 MBA
posted by Takashi Inoue at 13:07| Comment(0) | 書籍

2016年10月11日

書籍: 人を動かす


 
大学院(MBA)の課題図書となっていた一冊。
 
Amazonでは「あらゆる自己啓発書の原点となった不朽の名著」と紹介されている。
誤解を招きそうな邦題が付けられているが、内容は誠実なものが中心。
 
--- 以下、個人的な所感 ---
 
MBA的な理論・論理も重要だが、それを実行するのは人間であり、
人間はどこまでいっても感情の動物である。結果が全てという人も
無自覚に感情に振り回されている。
 
大きな成功も、大きな失敗も、感情に振り回された人間の営みの中から生まれる。
そうであるならば、もっとも重要なことは、感情を上手く伝えあい、制御することである。
 
言葉は万能なようで、実はそうでもない。
伝えたいことがあっても、言葉にすると取りこぼしてしまう部分がある。
順番に伝えることしか出来ないため、早とちりされてしまうこともある。
誤解を生じることだってある。
  
だから、表情・言葉・行動は意識的に丁寧にしてゆかねばならない。
少し立ち止まってから行動すれば、多くの問題を防ぐことが出来る。
少し立ち止まってから行動すれば、幸せに、多くのことを成し遂げることが出来る。
 
posted by Takashi Inoue at 00:08| Comment(0) | 書籍

2016年02月15日

書籍: ほとんどの社員が17時に帰る 売上10年連続右肩上がりの会社



理想の働き方を目指して奮闘する社長の一冊

著者である社長の岩崎裕美子氏は、
広告代理店のプレイングマネージャ(激務)から、
未経験の化粧品業界に飛び込んで起業した経歴を持つ。

本書は「スピード仕事術」といった内容ではなく、
根本的なものが多いため学びは大きい。

 ・労働集約的にならないビジネスを開発するには
 ・労働時間を圧縮しつつ、持続的成長を保つには
 ・組織文化づくり、マネージメントのありかた
 ・女性のキャリアのありかた

さらに、上記を確立するまでに起こった様々なトラブル、
改善に向けた試行錯誤の過程なども記されているため、
机上の空論でないことも実感できる。

初めは残業なしで稼げるビジネスの模索から始まるが、
次第に組織作り、モチベーション喚起の方向に移ってゆく。
「17持あがりになった。給料も良い。なのになぜ精神不調の社員が出るのか、、、」
という暗黒時代からの奮闘劇には、一見以上の価値がある。


■感想

著者は「真剣に話を聞くこと」「考えていることを何度も伝えること」
の重要性を何度も強調していている。

日本人は「察すること」「察されること」が無意識に刷り込まれており、
それがトラブルの発生源となっているのではないかと感じた。
とはいえ、本人からすると「まさか伝わっていないとは」という内容も多いので、
第三者的な監査・コンサルを積極的に受け入れるという著者の行動は合理的だろう。

また、「伝える内容」と「伝え方」は重要な両輪であることにも留意したい。
目的は、伝えることではなく、理解し行動してもらうことなのだから。
 
タグ:MBA 組織作り
posted by Takashi Inoue at 19:46| Comment(0) | 書籍

書籍: 図解クラウド 仕事で使える基本の知識



クラウドまわりの情報を、ザッと紹介している一冊

開発者視点の情報は控えめで、
経営者・管理者・使用者視点での情報が多い。
クラウドを使ったシステムの導入・構築を提案した際に、
顧客から質問を受けそうな内容がまとまっている。

クラウドが生まれた背景から始まり、
クラウドの仕組み、クラウドのメリット/デメリット
クラウド事業者各社サービスの紹介、
クラウド関連業界の今後の見通しと続く。


■サマリ

・クラウドは電話に例えられる
 通話、時報、天気予報、災害用伝言 etc
 
・クラウドのメリット
 - 新規事業を始めやすい
   従量課金制のため、小資本でスタートできる。
   まずは小さく作ってみて、市場の反応を確かめられる。
   1度しか使わないソフトのために大金を出さずに済む。

 - 新規事業を中断しやすい
   資産を抱えていないため。

 - 付帯業務を省略できる
   通信量を見積もって設備購入 → 自由にスケールアップできるので不要
   クライアントへのインストール作業 → クラウド側で処理するので不要
   ライセンス管理 → クラウド事業者が実施
   セキュリティ確保 → クラウド事業者が実施
   サーバー管理 → クラウド事業者が実施
   バックアップ → クラウド側で対応可能
 
・クラウドのデメリット
 - システムの規模や扱うデータ量が大きいと、割高になる場合もある。
 - データを預けることによる、セキュリティ上のリスク、法的リスク
 - クラウドのダウンによる業務停止のリスク
 - 従量課金制のため、最終的な利用料金の予測が難しい

・クラウドまわりの技術的トピック
 分散処理を行うためのライブラリ(MapReduce, Pipes etc)
 分散処理を言語そのものでサポート(Scala, F# etc)
 分散処理、スケールに合わせた最適化がしやすいDB (NoSQL)

・各社のクラウドサービス詳細
 Google, Amazon, SalesForce, Microsoft, IBM, Oracle, NTTdata etc 
 
・ビジネスで利用する際の留意点
 新しくクラウドを使った事業を始める場合
 既存システムをクラウドに乗せ換える場合
 新規システムを顧客に提案する場合
 
 
■目次

第1章 クラウドとは何か
1-1 クラウドとは
1-2 クラウドで何ができるのか
1-3 なぜクラウドが必要なのか
1-4 データをどこに持つのか
1-5 クラウドの利用に必要なソフトウェア
1-6 クラウドを形成するプラットフォーム
1-7 クラウドの導入で何が変わるか
1-8 クラウドの歴史
1-9 クラウドが生まれた理由
1-10 クラウドの形態
1-11 クラウドのサービスモデル
1-12 ソフトウェアによるクラウド活用
1-13 大企業とクラウド
1-14 中小企業とクラウド
1-15 個人ユーザとクラウド

第2章 クラウドのしくみ
2-1 クラウドを支える技術
2-2 仮想化とは
2-3 仮想化の種類
2-4 分散処理とは
2-5 Webアプリケーションとは
2-6 SaaSとは
2-7 PaaSとは
2-8 IaaSとは
2-9 DaaSとは
2-10 VPNとは
2-11 サーバとは
2-12 クラウドに接続するデバイス
2-13 クラウドを生かすプログラミング言語
2-14 MapReduceとは
2-15 クラウドに適したデータベースシステム
2-16 NoSQLの種類
2-17 クラウドとWeb2.0
2-18 クラスタリングとは

第3章 クラウドの導入と利用
3-1 どのようなシステムでクラウドを導入するべきか
3-2 クラウドの導入前に考えるべきこと
3-3 クラウドに合わせたシステムの再構築
3-4 クラウドサービスを見極める
3-5 クラウドを利用するリスク
3-6 どの部分をクラウド化するのか
3-7 既存システムをクラウドに移行する
3-8 小規模な現場でのクラウド利用
3-9 システムの規模を拡大/縮小する
3-10 クラウドを利用するうえでのセキュリティ対策
3-11 クラウドを利用したバックアップ

第4章 さまざまなクラウドサービス
4-1 Googleのクラウドサービス(SaaS編)
4-2 Googleのクラウドサービス(PaaS編)
4-3 Amazon.comのクラウドサービス(IaaS編)
4-4 Amazon.comのクラウドサービス(PaaS編)
4-5 Salesforce.comのクラウドサービス(SaaS編)
4-6 Salesforce.comのクラウドサービス(PaaS編)
4-7 Microsoftのクラウドサービス(SaaS編)
4-8 Microsoftのクラウドサービス(PaaS編)
4-9 IBMのクラウドサービス
4-10 Oracleのクラウドサービス
4-11 ニフティのクラウドサービス
4-12 Rackspaceのクラウドサービス
4-13 富士通のクラウドサービス
4-14 NECのクラウドサービス
4-15 NTTデータのクラウドサービス
4-16 日立のクラウドサービス
4-17 IIJのクラウドサービス

第5章 クラウドの課題と今後
5-1 クラウド環境におけるセキュリティの課題
5-2 クラウド上のシステムを保護するセキュリティ対策製品
5-3 クラウド利用時の情報セキュリティ管理ガイドライン
5-4 SLA(サービス品質保証契約)について考える
5-5 クラウドと企業コンプライアンス
5-6 データの所在にかかわる法的リスク
5-7 クラウドの利用と内部統制
5-8 クラウド事業者の内部統制評価
5-9 クラウド利用時に発生するトラブル
5-10 サーバやネットワーク障害への対策
5-11 コスト見積りの難しさ
5-12 アプリケーション開発者にとっての課題
5-13 他のクラウドサービスへの乗り換え
5-14 クラウドの標準化
5-15 クラウドとグリーンIT
5-16 霞ヶ関クラウドとは
5-17 自治体クラウドとは
5-18 農業クラウドとは
5-19 教育クラウドとは
5-20 医療クラウドとは
タグ:開発
posted by Takashi Inoue at 01:30| Comment(0) | 書籍

2016年02月10日

書籍: システムインテグレーション再生の戦略



日本のSIerが、受託開発を脱してどこへ向かってゆくべきか。
その道標となり得る一冊。

豊富なデータと実例に支えられており、説得力が非常に高い。
現場の人々が、丁寧に議論を重ねて書いていることが感じられる。
経営者から営業・プログラマ・情シスの方まで参考になる内容のはずなので、
SI産業に携わる方々にぜひ読んで頂きたい。


■サマリ

・SIは成長産業ではない
 経済産業省によるデータを見ると、SI市場は右肩上がりになっている。
 しかしそれは、みずほ銀行やマイナンバーなどによる特需による効果。
 実質成長率は非常に低い。しかもこれは日本法人のみの統計である。

・世界のトレンドはクラウドサービス
 クラウドサービスの世界市場は年数10%の伸びを見せている。
 日本企業が特需案件をこなしているうちに、 
 外資系企業がその他の需要、今後の需要をクラウドで奪ってゆく。
 (特需対応による機会損失と技術停滞)

・ソフトウェア受託開発の闇
 工数積算で見積もるにも関わらず、
 成果保障(瑕疵担保責任)を負うという契約構造が不幸を呼んでいる。
 請負契約の場合、支払いを人質にして延々と作り直しを求められてしまう。
 すると、提供側は少しでも原価を抑えようという考えになり、
 品質保証もそこそこに、要件定義書通りに作ることに専念するようになる。
 顧客側も対抗して、何でも仕様に入れようとするようになる。
 そして互いの不信感が深まってゆく。

・SIは製品産業からサービス産業へ
 これまでのシステム開発は「業務効率化」を目的としていた。
 しかし現在は「競争優位性を生み出す仕組み」としてシステムが構築される。
 それによって、QCD(品質、コスト、納期)の優先順位も変化しており、
 クラウドサービスを利用する価値が上がってきている。
 しかしクラウドを使うと工数が減るため、人月積算では価格が落ちてしまう。
 また、少ない資本・工数・専門知識で構築出来るため、
 新規参入が容易になり、競争が激化してしまう。

・今後どうなってゆくか
 SI業界に現れた3つの大きなトレンドと、
 それを支える10のテクノロジーを紹介。
 
・ポストSIビジネスの戦略
 今後SI企業が取るべき3つの戦略と9つのシナリオを示し、
 それらを既に実現している先進的企業のインタビューを掲載。
 
・ポストSIビジネスに必要なもの
 マーケティング (製品産業ではなくサービス産業のため)
 グローバル戦略 (オフショアとの向き合い方)
 プライシング戦略 (工数積算に代わるもの)
 人材育成戦略 (エンジニアと営業の育て方)
 新規事業戦略 (検討すべき要素、実施手順)
 
・その他のキーワード
 - モノは無料で提供し、サービスで稼ぐ
 - 使用量課金であればビジネス中止にも舵を取りやすい
 - 業務のプロの話を聞きながら、その場で一緒に考えて実装
 - 自社開発システムを使ってサービス提供する (データ投入から)
 - 情報システム部門がITマネジメント(業務標準化等)の機能を持つべき
 - ソリューション営業(課題解決)からイノベーション営業(変革推進)へ
 - オフショアには、安価な労働力ではなく、優秀な労働力を求めるべき
 - 新規事業は現在の延長ではないので、現在の評価軸で評価しないこと
 
posted by Takashi Inoue at 02:35| Comment(0) | 書籍