2019年03月14日

書籍: 最高の結果を出すKPIマネジメント


 
リクルート流のKPIマネジメントを解説した一冊。
 
著者はKPIマネジメントを現業部門で実践するとともに、
そのノウハウをグループ内に広げる活動も行っている。
本書はその講義資料を元に作られていたものである。
 
本書はKPIに関するありがちな誤解を解くところから始まり、
KPIマネジメントの構築手順・運用方法・注意点を紹介した後、
ケース別でマネジメント例を紹介している。
 
KPIを上手く設定できると、業績に良い効果が現れるだけでなく、
メンバーを強くモチベートできるものであると述べている。
 
--- ポイント ---
 
・KPIマネジメントに登場する概念
 ・現在の事業にとっての最重要プロセス (CSF: Critical Success Factor)
 ・それをどの程度実行すると (KPI: Key Performance Indicator)
 ・事業計画が達成できるのか (KGI: Key Goal Indicatior)
 
・KPIの誤解
 ・売上や利益はKPIにならない
 ・売上や利益はKGI(最終的な数値目標)であり、それは結果指標・遅行指標である。
 ・KPIはPerformanceを測定する指標であり、プロセス指標・先行指標である。
 ・KPIは複数の指標の中からKeyとなる1つを抽出したものである
 ・複数の指標を見るのはPIマネジメントであって、KPIマネジメントではない
 
・KPIは信号
 青ならそのまま、黄色なら注意、赤なら止まる、信号は一つでないと事故が起こる。
 交差点に入るずっと前から見えるようにしておく(リアルタイム確認・先行指標)
 信号が複数あると、各人が勝手にどれかだけを選び、それに従うようになってしまう。
 (そうなると、後で何が悪かったのかの振り返りも出来ない)
 信号ルールを破らない範囲で、早く到着してねとして、社員に自由度を与える。
 そして渋滞情報を企業から伝える (組織は目標達成のためのサポートを行う)
 信号ルールは守りつつも、信号から信号の間で急加速する輩も出てくる(燃費が悪化)
 このため、目安時間内 ± α で到着してねとする (率はKPIではなく拘束条件として使う)
 各人が交通状態を加味して走行するようになり、定時到着かつ低燃費となる。
 
・KPIマネジメントで起こりがちな問題
 売上達成のためにコスト度外視でやってしまう問題
 制約率が下がらないように営業を控えてしまう問題
 売上が先か、効率化が先か問題
 
・紹介されている事例
 事例@ 特定の営業活動を強化することで業績向上を目指す
 事例A エリアにフォーカスすることで業績を拡大する
 事例B 商品特性から特定ユーザ数をKPIに設定する
 事例C 時代の変化を先取りして特定の商品にシフトする
 事例D 従量課金モデルでは歩留まり向上から始める
 事例E 採用活動におけるKPIの考え方
 事例F 社外広報は目的を明確にしてKPIを設定する
 事例G 社内スタッフ部門は従業員満足度をKPIにするのが基本
 事例H 集客担当には集客単価を決めて自由に動いてもらう
 事例I 仕事ができるようになるためのKPI
 事例J 人生100年時代を健康に過ごすためのKPI
 
--- 所感 ---
 
私自身が IoT SaaS の事業立ち上げでKPI設定に悩んだ経験があるため、
本書の内容に強く共感を覚え、また「これを早く読んでいれば、、、」という感想を持った。
私が当時KPIマネジメントに感じていたモヤモヤ感は、以下に起因していたようである。
 
 ・SaaS では ChurnRate を見ることが多いが、それは遅行指標である。
 ・Time to Value などの指標もあるが、KGIとその関連性は明確にしておく必要がある。
 ・KGIの分解、プロセスの分解、CSF絞込みのプロセスが甘かった。
 
さらに、KPIマネジメントとコンサル思考・サービスマネジメントとの親和性も興味深かった。
 
 ・コンサル思考「課題の見極め(KGI)→分解→優先順位付け(CSF)→仮説(KPI仮説)」
 ・サービスマネジメント「定量化し、現場に裁量を与え、本部から情報や標準化のサポート」
 ・サービスマネジメント「定量化すれば判断できる。定量化すれば改善できる」
 
posted by Takashi Inoue at 00:00| Comment(0) | 書籍

2019年03月01日

書籍: コンサル頭で仕事は定時で片付けなさい


 
MBA近代経済史の講師による一冊。
巨大な知性と穏やかさを感じる講師であったため興味を持ち購入。
 
本書では少ない時間で高い成果を上げるための方法として、コンサルタント思考の4ステップ「課題を見極め、分解し、優先順位をつけ、仮説を立てる」を提唱し、その手法詳細、ケーススタディ(状況別の適用例)、トレーニング方法を解説している。
 
著者はウォートンMBAからマッキンゼーという驚異的なレベルの人物だが、それでもコンサルタントを経験するまでは週100時間労働でプライベートなしという生活を改善できなかったと述べている。本書はその状態からの試行錯誤の結果がまとめられたものである。
 
極めて平易な文体で書かれており、ケーススタディも一般的な会社で起こりがちな問題ばかりのため、すぐに実務に適用できそうだと感じた。
 
仕事で苦しくなって来た時は、すぐにこの本を読み返したい。
 
 
− 以下、書籍からの要約抜粋 −
 
・定時に帰れないのは、決して仕事量だけが問題ではない
 
・アウトプットの質・量を高めるために、インプット(時間)を増やすばかりになっていないか。
 インプットを増やすことなくアウトプットを高めるには、仕事のやり方を変えるしかない。
 そしてもしそれができれば、アウトプットのレベルは無限に上げてゆける。
 
・コンサル思考は自然には身につかない
 成果を追求するには、人間の直感に抗う必要がある(コンサル脳に切り替える必要がある)
 人間の直感は、目に付いたものを優先し、重要でなさそうなものを無意識のうちに省き、
 手のつけやすいものから手をつけてしまう。
 意識的にコンサル脳に切り替えて、思考の4ステップを使ってゆこう。
 
・仕事が楽しくなる
 思考の4ステップによって高い成果を効率的に生み出せるようになると、仕事が楽しくなる。
 何をすべきか分からないという不安も無くなり、主体性が高まってゆく。
 
・少しづつトレーニングしよう
 コンサル脳は今日からすぐに使えるというものではない。
 著者自身も週100時間労働が90時間になり、80時間になり、やがて定時帰りを達成したが、
 そこまでは長い試行錯誤の時間が必要だった。毎日少しずつ練習してゆこう。
 
・徹底的にトレーニングしよう
 上位マネジメントになるほど正確で素早い意思決定が必要。
 思考の4ステップを徹底的にトレーニングしておく必要がある。
 
・残業をなくすことができれば、人生は二毛作も三毛作もできる。
 
・ケーススタディ
 01: やることが多すぎる
 02: 多部署と一緒に仕事をしている
 03: 自分の知識の範囲を超えている
 04: チームメンバーの力を生かせない
 05: 上司が頼りにならない
 06: 意見がまとまらない
 07: 会議ばかりで自分の仕事ができない
 08: 会議をリードできない
 09: いいアイディアが浮かばない
 10: 予定が後ろにズレ込んだ
 11: 最後の取りまとめを任された
 12: 上司が毎日のように飲みに誘ってくる
 13: アシスタントとの業務連携がうまく回らない
 14: 目の前の仕事に追われて
 15: 早く帰ると家族の機嫌が悪い
 16: 下請けなので自由度が低い
 17: 出張が多い
 18: 上司がずっと残っている
 
著者プロフィール:
https://mba.globis.ac.jp/curriculum/detail/bti/teacher/shibanuma_shunichi.html
 
posted by Takashi Inoue at 00:00| Comment(0) | 書籍

2019年01月04日

書籍: 特許情報調査と検索テクニック入門


 
特許情報調査の基礎知識と検索テクニックを解説した一冊。
転職活動の中で興味を持ったため購入。
 
400ページという多めのボリュームだが、一貫して平易な文章、身近な例示、丁寧な解説が行われるため非常に読みやすい。専門外の人が特許調査業務の概要・実務の流れを把握するには非常に良い書籍と思われる。
 
---- 概要 ----
・特許の基礎知識 (基本・種類・特徴など)
・特許の制度概要 (日本の制度、海外出願ルート、広報発行のタイミングなど)
・特許調査の概要 (目的・フェーズ・種類など)
・特許情報調査の具体的な進め方 (DB種別、検索法、読み方、調査結果のまとめ方など)
・特許情報調査スキルを継続的に磨くための方法
 
---- 私の所感 ----
■特許調査業務の将来について
今後は検索技術の比重が下がり、ビジネス分析・提言の比重が高まってゆくのではないだろうか。
 
日本の公共特許DBには Google や Amazon ほどのあいまい検索力がなく、「バイク OR 自動二輪 OR オートバイ」といった形で明示的にあいまい語を指定する必要があるとのこと。公共機関にはそのような点を改善するインセンティブが小さいため、この状況はしばらく続いてゆくことが予想される。そしてそのために、検索能力は特許調査技術の重要な要素となり続けるだろうと感じた (民間の特許DBが改善されないのは、新規参入や競争が緩やかな業界であるためだろうか)
 
一方で、長期的な視点では検索精度の問題は解消するはずである。すると情報の抽出よりも加工、検索結果を元にした競合他社のビジネス戦略分析や自社の戦略提言などの比重が高まってくるものと思われる。検索技術は、比重が下がるものの、検索結果が十分に周辺ワードを拾えているのかを検証するという点で一定の価値が残りそうである。
 
■特許自体の将来について
特許によって技術者・企業が保護されるため発明が活性化するという論理は理解できる。一方で Open Source Software(OSS)など、開発した新技術は世界中で共有し、その先のビジネスで差をつけようという動きもある (例えば Amazon の顧客数は大きいため、そのデータを元にしたレコメンドに他社が対抗することは難しいなど)。個人の視点では前者が好ましいが、人類全体の発展という視点では後者の方が望ましいのではないか。その意味で、将来的には新しい特許の形が設計されるのではないかと感じた。
 
-- 著者の野崎篤志氏について ---
同氏は知財業界で著名な方の様で、Google検索すると数々のインタビュー記事、ブログ記事、公演、書籍、Youtube動画などがヒットする。私が特に共感を覚えた記事は以下。
 
『知財コンサルタント野崎篤志×IPFbiz 〜知的財産のコンサル・アナリストとは〜』
http://ipfbiz.com/archives/nozaki.html
 
Twitterでも積極的に情報発信をされているようなので、今後もキャッチアップしてゆきたい。
『Twitter - Atsushi Nozaki - IP information architect』
https://twitter.com/conductor_hvk
 
posted by Takashi Inoue at 16:55| Comment(0) | 書籍

書籍: データサイエンティスト養成読本


 
MBAデータサイエンスの教科書として指定された一冊。
 
機械学習を実務利用している方々(Preferred Networks社、Gunosy社、トヨタ社などの所属)による解説本。
 
機械学習の歴史・今後の展望など広い視野の記事もあり、理論的背景を簡単に紹介する記事もあり、Pythonのインストール方法から始まってプログラムを1行ずつ解説する記事もあり、ビジネス上の典型的な落とし穴や対策の話もあり、非常にバランスよく記事が散りばめられている。
 
また、要求される前提知識も少なく、何らかのプログラミング経験と、大学1〜2年程度の数学の知識があれば、1日程度でスイスイと気持ちよく読めるはず。
 
私自身が IoT SaaS Telematics で分析サービスを立ち上げていた際に、事前にこれを1冊読んでいれば、機械学習によるソリューションも加えられたのに、、、と悔しさを覚えた。
 
機械学習入門の一冊目としておすすめの良書。
 
-- 目次 --
・機械学習の概要 (基礎知識、Q&A、歴史と今後の見通し)
・機械学習のビジネス適用例・簡易実装例 (深層学習(DeepLearning)以外)
・機械学習のビジネス適用例・簡易実装例 (深層学習(DeepLearning))
・機械学習ツール類の外観 (プログラム言語、サービス、システム)
・Pythonで機械学習を実行する (Pythonのインストールから実装まで)
・機械学習による推薦システム (基礎知識、チューニングの基本、応用の方向性)
・機械学習による画像認識 (基礎知識、チューニングの基本、応用の方向性)
・機械学習による異常検知 (基礎知識、チューニングの基本、応用の方向性)
 
 
posted by Takashi Inoue at 15:21| Comment(0) | 書籍

2018年12月25日

書籍: 仕事ではじめる機械学習



MBAデータサイエンスの教科書として指定された一冊。

本書は機械学習の書籍ではあるが、理論的背景よりも適用方法や実装方法などの、ビジネス的な観点での記載が充実している。例えば以下のようなものである。

・機械学習を利用したプロジェクトにはどのような工程があるか
・機械学習のアルゴリズムにはどのような選択肢があるか
・プロジェクトで起こりがちなミスと対策は何か
・データをどのように収集するか
・どのように分析を進めるか
・どのようにレポートにまとめるか

また、後半3章では以下の実例が示される。

・映画のレコメンドシステムを作る
・クラウドファンディングサイトを分析して、成功率を高めるための知見を得る
・自社マーケティングの分析と改善

実例はデータ、Pythonコード、PPTレポートが示されており、自分の業務へ応用もしやすい造りになっている。データサイエンティストの業務がイメージできる良書である。

■目次
1. 機械学習プロジェクトのはじめかた

2. 機械学習で何が出来る?
2-1. どのアルゴリズムをえらぶべきか
2-2. 分類(パーセプトロン、ロジスティック回帰、SVM、ニューラルネットワーク,k-NN,決定木,ランダムフォレスト,GBDT)
2-3. 回帰
2-4. クラスタリング・次元削減
2-5. その他

3. 学習結果を評価しよう
4. システムに機械学習を組み込む
5. 学習のためのリソースを収集しよう
6. 効果検証

7. 映画の推薦システムを作る
8. Kickstarterの分析、機械学習を使わないという選択肢
9. Uplift Modelindによるマーケティング資源の効率化
posted by Takashi Inoue at 22:05| Comment(0) | 書籍

2018年09月28日

書籍: ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則


 
平凡な企業が、卓越した企業に変化したケースを分析した一冊。
原題は「Good to Great」
 
スタンフォード大学の研究チームが5年に渡る調査を経て発表した内容であり、
幅広いデータ郡から抽出した企業に対して、非常に丁寧な調査が行われている。
分析のフェーズでは、可能な限り先入観を排除し、定量的な判断となるよう配慮されている。
 
調査の要点は以下の通り。
 
・適切な人材が集まることが最重要
 経営者が適切な人材であり、また採用でも妥協していない。
 
・適切な人材とは、技能・年齢・学歴・職歴などではなく
 性格・人柄・価値観・基礎的能力で決まる。
 
・適切な人材には全体最適の価値観がある。
 個人の短期的な名声よりも、組織全体の永続的な発展を目指す。
 そのため、派手ではなく謙虚だが強い熱意を持つ人物である。
 
・適切な人材が集まった後で、進む方向を決める。
 価値観が揃っていれば、行き先変更は大した問題にはならない。
 
・適切な人材が集まれば、管理作業やモチベーション向上施策
 などは不要で、やるべきことにより専念できる。
 
・適切な人材を集まれば、建設的かつ徹底的に議論ができるため、
 組織・各人のやるべきことが明確になる。納得感があるため実行力が高く、
 状況が良くなってくるとモチベーションが高まって加速してゆく。

・報酬制度は、適切な人材にとどまり続けてもらうために存在する。
 
調査結果は日本文化的な美徳とも相性が良く、読んでいて非常に気持ち良い。
私自身が始めてこの本を読んだ時にはピンとこなかったが、
その後に異動や転職を経て様々な環境を経験した結果、
納得・共感できる部分が非常に多くなっていた。
 
もしかすると、起業することのメリットの一つは人なのかもしれない。
価値観の合う信頼できる人たちを自分で選び、
多くの時間を共に過ごしてゆくことは、やはり幸せなことではないだろうか。
タグ:書籍 MBA
posted by Takashi Inoue at 13:07| Comment(0) | 書籍

2016年10月11日

書籍: 人を動かす


 
大学院(MBA)の課題図書となっていた一冊。
 
Amazonでは「あらゆる自己啓発書の原点となった不朽の名著」と紹介されている。
誤解を招きそうな邦題が付けられているが、内容は誠実なものが中心。
 
--- 以下、個人的な所感 ---
 
MBA的な理論・論理も重要だが、それを実行するのは人間であり、
人間はどこまでいっても感情の動物である。結果が全てという人も
無自覚に感情に振り回されている。
 
大きな成功も、大きな失敗も、感情に振り回された人間の営みの中から生まれる。
そうであるならば、もっとも重要なことは、感情を上手く伝えあい、制御することである。
 
言葉は万能なようで、実はそうでもない。
伝えたいことがあっても、言葉にすると取りこぼしてしまう部分がある。
順番に伝えることしか出来ないため、早とちりされてしまうこともある。
誤解を生じることだってある。
  
だから、表情・言葉・行動は意識的に丁寧にしてゆかねばならない。
少し立ち止まってから行動すれば、多くの問題を防ぐことが出来る。
少し立ち止まってから行動すれば、幸せに、多くのことを成し遂げることが出来る。
 
posted by Takashi Inoue at 00:08| Comment(0) | 書籍

2016年02月15日

書籍: ほとんどの社員が17時に帰る 売上10年連続右肩上がりの会社



理想の働き方を目指して奮闘する社長の一冊

著者である社長の岩崎裕美子氏は、
広告代理店のプレイングマネージャ(激務)から、
未経験の化粧品業界に飛び込んで起業した経歴を持つ。

本書は「スピード仕事術」といった内容ではなく、
根本的なものが多いため学びは大きい。

 ・労働集約的にならないビジネスを開発するには
 ・労働時間を圧縮しつつ、持続的成長を保つには
 ・組織文化づくり、マネージメントのありかた
 ・女性のキャリアのありかた

さらに、上記を確立するまでに起こった様々なトラブル、
改善に向けた試行錯誤の過程なども記されているため、
机上の空論でないことも実感できる。

初めは残業なしで稼げるビジネスの模索から始まるが、
次第に組織作り、モチベーション喚起の方向に移ってゆく。
「17持あがりになった。給料も良い。なのになぜ精神不調の社員が出るのか、、、」
という暗黒時代からの奮闘劇には、一見以上の価値がある。


■感想

著者は「真剣に話を聞くこと」「考えていることを何度も伝えること」
の重要性を何度も強調していている。

日本人は「察すること」「察されること」が無意識に刷り込まれており、
それがトラブルの発生源となっているのではないかと感じた。
とはいえ、本人からすると「まさか伝わっていないとは」という内容も多いので、
第三者的な監査・コンサルを積極的に受け入れるという著者の行動は合理的だろう。

また、「伝える内容」と「伝え方」は重要な両輪であることにも留意したい。
目的は、伝えることではなく、理解し行動してもらうことなのだから。
 
タグ:MBA 組織作り
posted by Takashi Inoue at 19:46| Comment(0) | 書籍

書籍: 図解クラウド 仕事で使える基本の知識



クラウドまわりの情報を、ザッと紹介している一冊

開発者視点の情報は控えめで、
経営者・管理者・使用者視点での情報が多い。
クラウドを使ったシステムの導入・構築を提案した際に、
顧客から質問を受けそうな内容がまとまっている。

クラウドが生まれた背景から始まり、
クラウドの仕組み、クラウドのメリット/デメリット
クラウド事業者各社サービスの紹介、
クラウド関連業界の今後の見通しと続く。


■サマリ

・クラウドは電話に例えられる
 通話、時報、天気予報、災害用伝言 etc
 
・クラウドのメリット
 - 新規事業を始めやすい
   従量課金制のため、小資本でスタートできる。
   まずは小さく作ってみて、市場の反応を確かめられる。
   1度しか使わないソフトのために大金を出さずに済む。

 - 新規事業を中断しやすい
   資産を抱えていないため。

 - 付帯業務を省略できる
   通信量を見積もって設備購入 → 自由にスケールアップできるので不要
   クライアントへのインストール作業 → クラウド側で処理するので不要
   ライセンス管理 → クラウド事業者が実施
   セキュリティ確保 → クラウド事業者が実施
   サーバー管理 → クラウド事業者が実施
   バックアップ → クラウド側で対応可能
 
・クラウドのデメリット
 - システムの規模や扱うデータ量が大きいと、割高になる場合もある。
 - データを預けることによる、セキュリティ上のリスク、法的リスク
 - クラウドのダウンによる業務停止のリスク
 - 従量課金制のため、最終的な利用料金の予測が難しい

・クラウドまわりの技術的トピック
 分散処理を行うためのライブラリ(MapReduce, Pipes etc)
 分散処理を言語そのものでサポート(Scala, F# etc)
 分散処理、スケールに合わせた最適化がしやすいDB (NoSQL)

・各社のクラウドサービス詳細
 Google, Amazon, SalesForce, Microsoft, IBM, Oracle, NTTdata etc 
 
・ビジネスで利用する際の留意点
 新しくクラウドを使った事業を始める場合
 既存システムをクラウドに乗せ換える場合
 新規システムを顧客に提案する場合
 
 
■目次

第1章 クラウドとは何か
1-1 クラウドとは
1-2 クラウドで何ができるのか
1-3 なぜクラウドが必要なのか
1-4 データをどこに持つのか
1-5 クラウドの利用に必要なソフトウェア
1-6 クラウドを形成するプラットフォーム
1-7 クラウドの導入で何が変わるか
1-8 クラウドの歴史
1-9 クラウドが生まれた理由
1-10 クラウドの形態
1-11 クラウドのサービスモデル
1-12 ソフトウェアによるクラウド活用
1-13 大企業とクラウド
1-14 中小企業とクラウド
1-15 個人ユーザとクラウド

第2章 クラウドのしくみ
2-1 クラウドを支える技術
2-2 仮想化とは
2-3 仮想化の種類
2-4 分散処理とは
2-5 Webアプリケーションとは
2-6 SaaSとは
2-7 PaaSとは
2-8 IaaSとは
2-9 DaaSとは
2-10 VPNとは
2-11 サーバとは
2-12 クラウドに接続するデバイス
2-13 クラウドを生かすプログラミング言語
2-14 MapReduceとは
2-15 クラウドに適したデータベースシステム
2-16 NoSQLの種類
2-17 クラウドとWeb2.0
2-18 クラスタリングとは

第3章 クラウドの導入と利用
3-1 どのようなシステムでクラウドを導入するべきか
3-2 クラウドの導入前に考えるべきこと
3-3 クラウドに合わせたシステムの再構築
3-4 クラウドサービスを見極める
3-5 クラウドを利用するリスク
3-6 どの部分をクラウド化するのか
3-7 既存システムをクラウドに移行する
3-8 小規模な現場でのクラウド利用
3-9 システムの規模を拡大/縮小する
3-10 クラウドを利用するうえでのセキュリティ対策
3-11 クラウドを利用したバックアップ

第4章 さまざまなクラウドサービス
4-1 Googleのクラウドサービス(SaaS編)
4-2 Googleのクラウドサービス(PaaS編)
4-3 Amazon.comのクラウドサービス(IaaS編)
4-4 Amazon.comのクラウドサービス(PaaS編)
4-5 Salesforce.comのクラウドサービス(SaaS編)
4-6 Salesforce.comのクラウドサービス(PaaS編)
4-7 Microsoftのクラウドサービス(SaaS編)
4-8 Microsoftのクラウドサービス(PaaS編)
4-9 IBMのクラウドサービス
4-10 Oracleのクラウドサービス
4-11 ニフティのクラウドサービス
4-12 Rackspaceのクラウドサービス
4-13 富士通のクラウドサービス
4-14 NECのクラウドサービス
4-15 NTTデータのクラウドサービス
4-16 日立のクラウドサービス
4-17 IIJのクラウドサービス

第5章 クラウドの課題と今後
5-1 クラウド環境におけるセキュリティの課題
5-2 クラウド上のシステムを保護するセキュリティ対策製品
5-3 クラウド利用時の情報セキュリティ管理ガイドライン
5-4 SLA(サービス品質保証契約)について考える
5-5 クラウドと企業コンプライアンス
5-6 データの所在にかかわる法的リスク
5-7 クラウドの利用と内部統制
5-8 クラウド事業者の内部統制評価
5-9 クラウド利用時に発生するトラブル
5-10 サーバやネットワーク障害への対策
5-11 コスト見積りの難しさ
5-12 アプリケーション開発者にとっての課題
5-13 他のクラウドサービスへの乗り換え
5-14 クラウドの標準化
5-15 クラウドとグリーンIT
5-16 霞ヶ関クラウドとは
5-17 自治体クラウドとは
5-18 農業クラウドとは
5-19 教育クラウドとは
5-20 医療クラウドとは
タグ:開発
posted by Takashi Inoue at 01:30| Comment(0) | 書籍

2016年02月10日

書籍: システムインテグレーション再生の戦略



日本のSIerが、受託開発を脱してどこへ向かってゆくべきか。
その道標となり得る一冊。

豊富なデータと実例に支えられており、説得力が非常に高い。
現場の人々が、丁寧に議論を重ねて書いていることが感じられる。
経営者から営業・プログラマ・情シスの方まで参考になる内容のはずなので、
SI産業に携わる方々にぜひ読んで頂きたい。


■サマリ

・SIは成長産業ではない
 経済産業省によるデータを見ると、SI市場は右肩上がりになっている。
 しかしそれは、みずほ銀行やマイナンバーなどによる特需による効果。
 実質成長率は非常に低い。しかもこれは日本法人のみの統計である。

・世界のトレンドはクラウドサービス
 クラウドサービスの世界市場は年数10%の伸びを見せている。
 日本企業が特需案件をこなしているうちに、 
 外資系企業がその他の需要、今後の需要をクラウドで奪ってゆく。
 (特需対応による機会損失と技術停滞)

・ソフトウェア受託開発の闇
 工数積算で見積もるにも関わらず、
 成果保障(瑕疵担保責任)を負うという契約構造が不幸を呼んでいる。
 請負契約の場合、支払いを人質にして延々と作り直しを求められてしまう。
 すると、提供側は少しでも原価を抑えようという考えになり、
 品質保証もそこそこに、要件定義書通りに作ることに専念するようになる。
 顧客側も対抗して、何でも仕様に入れようとするようになる。
 そして互いの不信感が深まってゆく。

・SIは製品産業からサービス産業へ
 これまでのシステム開発は「業務効率化」を目的としていた。
 しかし現在は「競争優位性を生み出す仕組み」としてシステムが構築される。
 それによって、QCD(品質、コスト、納期)の優先順位も変化しており、
 クラウドサービスを利用する価値が上がってきている。
 しかしクラウドを使うと工数が減るため、人月積算では価格が落ちてしまう。
 また、少ない資本・工数・専門知識で構築出来るため、
 新規参入が容易になり、競争が激化してしまう。

・今後どうなってゆくか
 SI業界に現れた3つの大きなトレンドと、
 それを支える10のテクノロジーを紹介。
 
・ポストSIビジネスの戦略
 今後SI企業が取るべき3つの戦略と9つのシナリオを示し、
 それらを既に実現している先進的企業のインタビューを掲載。
 
・ポストSIビジネスに必要なもの
 マーケティング (製品産業ではなくサービス産業のため)
 グローバル戦略 (オフショアとの向き合い方)
 プライシング戦略 (工数積算に代わるもの)
 人材育成戦略 (エンジニアと営業の育て方)
 新規事業戦略 (検討すべき要素、実施手順)
 
・その他のキーワード
 - モノは無料で提供し、サービスで稼ぐ
 - 使用量課金であればビジネス中止にも舵を取りやすい
 - 業務のプロの話を聞きながら、その場で一緒に考えて実装
 - 自社開発システムを使ってサービス提供する (データ投入から)
 - 情報システム部門がITマネジメント(業務標準化等)の機能を持つべき
 - ソリューション営業(課題解決)からイノベーション営業(変革推進)へ
 - オフショアには、安価な労働力ではなく、優秀な労働力を求めるべき
 - 新規事業は現在の延長ではないので、現在の評価軸で評価しないこと
 
posted by Takashi Inoue at 02:35| Comment(0) | 書籍

2016年01月30日

書籍: 交渉の達人



ハーバード・ビジネススクールの
交渉術コースの内容をまとめた一冊

交渉の基本概念(BATNA、RV、ZOPA)から始まり、
最適解に向かう際に障害となりがちな心理的要素、
そして、それらの克服法が豊富な実例とともに紹介されている。

「自分に有利な条件で契約をまとめる方法」ではなく、
「お互いが満足する契約をまとめる方法」を追求しているため、
読んでいて非常に心地良く、適用へのモチベーションも高まる。

本書の内容は、MBAにおける講義だけでなく、
企業向け研修や、実業界との協業の中で検証され、
磨かれてきたものであるという。


■サマリ

交渉の基本
・準備する (自分の選択肢を整理する、相手の選択肢を想像する)
・情報格差を埋める (判断の根拠、回答内容の理由、参照点を問う)
・優先度の違いを利用する (互いの最優先を満たす解が存在する)
・不確定要素には条件付き契約 (ハッタリを防止)
・バイアスを解いて納得感を形成する

交渉のテクニック
・「…」 自分がボロを出しやすいのは、相手が沈黙している時。
・「他の引き合いもあります」 嘘にならないように、事前にBATNAを作っておく
・「資料がありません」 時間的プレッシャーが強い場で回答しない。
・「なぜでしょうか」 先入観の排除
・「休憩時間を取りましょう」互いのために検討時間を取る。

本書は内容が非常に多いため、簡潔にまとめることが難しい。
難しい交渉に直面した時に、本書をチェックリスト的に
読み返すのが良いかもしれない。


■目次

第一部 交渉のツールキット
01 交渉において価値を追求する
02 交渉において価値を創造する
03 調査交渉術

第二部 交渉の心理学
04 合理性が崩れる時 - 認知のバイアス
05 合理性が崩れる時 - 心理的バイアス
06 不合理の世界で合理的に交渉する

第三部 実社会での交渉
07 影響力の戦略
08 交渉の盲点
09 ウソとごまかしに対峙する
10 倫理的なジレンマを認識し、解決する
11 弱い立場からの交渉
12 交渉が荒れたとき - 不合理、不審、怒り、脅し、エゴに対処する
13 交渉してはならないとき
14 達人への道
 
タグ:MBA 交渉
posted by Takashi Inoue at 16:23| Comment(0) | 書籍

2016年01月15日

書籍: ソフトウェア企業の競争戦略


 
MITスローン経営大学院 マイケル・A・クスマノ 教授による
ソフトウェア企業の経営論。名著。
 
2004年の出版だが、いま読んでも得るものは非常に多い。
ソフトウェア企業は黎明期から同じような失敗を繰り返しており、
現在の日本でもそれは起こり続けている。本書に記載されている
先人の経験・ベストプラクティスに学ぶことは非常に重要だろう。
 
書籍の内容
・ソフトウェア産業とは (どのような性質のビジネスか)
・ソフトウェア企業の戦略 (何を考えれば良いか)
・ソフトウェア産業で成功するには (成功の要件)
・ソフトウェア開発論 (組織体制、開発モデル)
・ベンチャーキャピタルが見る部分 (良い計画の要件)
・スタートアップ10社のケース
 
開発の現場にいる人であれば、
第四章「開発のベスト・プラクティス」は必見。
マイクロソフトが作り上げた開発手法
「同期安定化プロセス」について紹介されている。
 
マイクロソフトは、過去 Word Ver1.0 の開発で大失敗している。
計画では開発期間は1年であったが、完成したのは5年後であった。
しかも毎年「今年中には終わるはず」と見込んでいた。
この失敗を徹底的に分析し「同期安定化プロセス」を
開発・導入することにすることで、Excelは予定通り1年で開発完了した。
 
ウォーターフォールモデルは、NASAのロケット打ち上げプロジェクト向けに
作られたモデルであり、超大規模のミッションクリティカルな案件に適している。
逆に言うと、一般のビジネス用途にはそぐわない、と述べている。
 
私自身、ソフトウェア関連業界に絶望感を覚えていたが、
この本を読んでまだまだ希望はあると感じた。
 
posted by Takashi Inoue at 04:00| Comment(0) | 書籍

2016年01月05日

書籍: 図解マーケティングの教科書



ITの発達に伴って、マーケティング業界には
多種多様な手段と概念が生まれてきている。
その最新事情を紹介しているのが本書である。


■内容

・キーワード解説
 DMP/SSP/DSP、ネイティブ広告、エンドレスアイル etc

・先進的企業のケース紹介
 JR東日本、リクルートジョブス、トヨタ、Z会 etc

・データ紹介
 テレビCMとアプリダウンロード数の相関 etc

・マーケターによる実践方法解説
 Fringe81 CEO 田中弦 氏


■感想

レイアウトが美しく、平易な言葉で
解説されているため読みやすい。
しかし深い内容までは解説されていない。

マーケティング専門外の人が、
最新事情をザッと把握するには良いのではないだろうか。
私にはとっては価値のある本だった。

移り変わりの激しい業界なので、
最新のトピックスを追うことも重要だが、
時系列的な変化を把握することで、
大局的な視点を得るのも重要だろう。
 
posted by Takashi Inoue at 02:16| Comment(0) | 書籍

2016年01月02日

書籍: 総合的戦略論ハンドブック



経営に限らず、広く戦略論を解説している一冊。

戦略論の歴史、過去の名著、基礎概念などを紹介した後、
軍事・金融・経営・安全保障などの分野での適用事例が紹介される。

「日本人は長期的な計画、戦略策定が不得意である」として
諸外国の識者からたびたび指摘されているにも関わらず、
日本でそういった内容を学ぶ書籍・学ぶ機会が極端に少ない
ことから、この本が作られることになった。


■感想

戦略論ハンドブックという名前ではあるが、
戦略論の詳細よりも、その発展の歴史(学派)や、
戦略策定の前提となる情報(宗教など)の紹介が多い。

何か特定の分野で戦略論を学んだ後で
この本に帰ってくると、より一般的に、包括的に
戦略論を捉えることが出来そうだ。

個人的には、ゲーム理論の概要、
古典的名著(孫子、トゥーキディディース、クラウセビッツ、マクナマラ)、
宗教リテラシー(ユダヤ教、キリスト教、イスラーム、ヒンドゥー教)
などの項で、初めて触れた情報が多く、新鮮さを感じた。

社交の場で必要になる「教養としての戦略論」というイメージ
 
posted by Takashi Inoue at 22:08| Comment(0) | 書籍

2016年01月01日

書籍: 模倣の経営学



早稲田大学 商学院教授による一冊
アジアの数か国で翻訳版が出版されている。

本書では、ビジネスにおいて異分野から
模倣することの重要性が説かれ、
またその具体的な手順が示される。

掲載されている各事例は、最終的に行きついた戦略だけでなく、
初期段階からの時系列的に変化を記載しているため分かりやすい。

まずは詳細まで徹底的に模倣することを勧めるところは
先日紹介した「星野リゾートの教科書」とも共通する。
反転の繰り返し、という大局観は非常に参考になった。

一方で、分析フレームワークとして提唱されている P-VAR は
個人的にはあまりシックリこなかった。


■トピックス

・模倣は定番手法
 創造性を重んじる芸術の世界でも、まずは模倣の練習から始まる。
 独自の作家とは、模倣しない人ではなく、模倣されない人である。

・模倣の重要性を説く人は多い
 ドトール創業者、ニトリ創業者ほか多くの経営者・
 「我流はダメだ。生きている時間が短いから」

・模倣対象を選ぶ
 距離の遠いところからモデルを見つけてくると有効性が高い。
 (事業内容、地理、時間的に遠いところから探す)
 異分野にある教師モデルと、同分野にある反面教師モデルを
 同時に見つけられると、向かうべき方向が決めやすい。
 
・模倣要素を選ぶ
 製品やサービスではなく、それを生み出す仕組みを模倣する。
 差別化要因がアウトプットでなく仕組みであれば、優位性が持続する。
 インターネットの普及によってアウトプットの模倣は速度が上がっている。
 模倣対象からは、複数の模倣要素を引き出せる。何を抽出するか重要。

・模倣の手順は守破離
 守: 模倣対象を忠実に再現する
 破: 個別要素を自分の環境に応じてカスタマイズ
 離: ポジティブなサイクルが回る仕組みづくり

・発展の流れを意識する
 既存プレーヤーの反転が出現する形で発展してゆく。
  ・A → Aの逆であるB → Bの逆であるA
  ・A → Aの逆であるB → AとBの逆であるC
 それを意識して大局観を持った戦略を策定する。
 
・ビジネスモデル分析の枠組みP-VAR
 ポジショニングスクールとリソースベースドビュー、
 オペレーション戦略を統合した分析の枠組みである。
 模倣対象をここに当てはめて分析した後、
 構成要素を反転させて自社の戦略を練る。

・情報収集の方法は多い
 講演会、視察ツアー、直接コンタクト、
 業務提携、定年退職者の雇い入れ
 多くの企業で実際に行われている。

・アドバイス
 もし新規事業を始めたいなら、
 それにピッタリ合うモデルを見つけて、
 うまく模倣することが大切。

・その他
 ネットワーク資産を持たなければ加盟店が独立してしまう。
 具体化・抽象化の幅と速度
 
posted by Takashi Inoue at 05:05| Comment(0) | 書籍

2015年12月30日

書籍: 星野リゾートの教科書



不採算ホテル・旅館を再生させることで有名な
星野リゾートの経営に関する一冊。

社長の星野佳路氏は、経営課題に直面するたびに
教科書となる経営書を探し、それに忠実に従うことで
乗り越えてきたという。

本書では、その実践方法と事例が紹介されている。


■サマリ

・ビジネスを科学する
 事例集ではなく、ビジネスを科学している書籍がある。
 事例を調査して、法則を見つけ出し、体系化して、検証しているもの。
 学問と実践を行き来している研究者によって書かれているもの。

・教科書に従うメリット
 ビジネスを科学している書籍に従えば、
 何も知らないで始めるよりも、遥かにリスクを小さくできる。
 そして判断の理由を明確に説明できる。行動に一貫性が出る。
 辛抱すべき時期を辛抱して乗り切れる。

・小さい会社ほど有効
 小さな会社ほど、理論に沿った大胆な転換がしやすい。
 経営リスクを減らす意義も大きい。

・本を探す
 ネット書店ではなく、実店舗で探す。
 平積みではなく、書店に一冊しかないような、枯れた本を見てゆく。
 目次と第一章を見て、現在の課題とマッチしているか判断する。
 
・本を読む
 持ち歩いて詳細部分まで何度も読み返す、
 付箋、マーカー、アイディアを書き込んでゆく
 読書メモは作らない(本の内容と乖離する)

・実践する
 教科書の内容を、詳細まで忠実に実行する。
 導入しやすい部分、都合のよい部分だけを使おうとしない。
 それでは成果が出なかったときに調整すべき方向が見えてこない。
 微調整は教科書通りをやり切ってから。
 社員にも教科書の内容を解説する。

・教科書に従った事例集
 星野リゾートが再生させた各企業について、
 その時に使った教科書と、適用の過程、結果などを紹介。
 戦略、マーケティング、リーダーシップ、教育、、、


■感想

事例を見ると、行き詰まっている企業は、
「頑張る方向性が見えない」という状況に見える。

そこに対して、向かうべき方向 = 経営書の内容 を示し、
それが組織に上手く浸透するように仕掛けを作る星野氏。
前者だけでなく、後者にも多くのノウハウがあると感じた。

さらに「課題が生まれてから書籍を探す」と言いつつも、
学生時代に出会った経営書を選択していることも多い。
普段から様々な経営書を読み、頭に栞(しおり)や
土地勘を入れておくことも重要だということだろう。
(最初はサラッと読んでおき、適用時は改めて詳細に読みこむ)

本書の中盤以降は、読んでいて強い高揚感があった。
旅館の支配人だけでなく、料理人や仲居さんが、
生き生きと働き、学問思考を育ててゆく様子は本当に楽しい。

MBAで学ぶ人たちを勇気づけてくれる一冊
 
posted by Takashi Inoue at 16:32| Comment(0) | 書籍

2015年12月26日

書籍: 医師国家試験のためのレビューブック



医学部勉強会にお邪魔した際に出会った一冊。
様々な症例、原因、治療法がまとめられている。

単純に読み物としても面白いが、私のような素人が
この本を読む価値は、病人・怪我人に対して、
妙な偏見を持たなくなることにあるだろう。
(ありもしない自分への感染経路を心配するなど)

また、民間療法やプラシーボ、
十分に検証されていない個人の体験談など、
怪しげな書籍・ネット記事が跋扈している中で、
「信頼性の高い情報源」「全ての医者が学んでいる定石」
という点にも価値を感じた。

当日もじっくり読んだが、購入して改めて読みたい。
 
※注意
 ここから得た知識を元に、素人が医師と議論するのは
 得策ではないと感じた。今回の勉強会を通して、
 医学部生がとんでもない量の知識・症例を学び、
 実地で経験を重ねていることを知ったため。
 
タグ:資格 書籍 医学
posted by Takashi Inoue at 06:00| Comment(0) | 書籍

2015年12月15日

書籍: 伝わるデザインの基本



Word, PowerPointで資料を作る際に、
気を付けるべき内容をまとめた一冊。

理系の研究者(非デザイナー系)が書いているためか、
感覚に頼った説明が少なくて分かりやすい。
少ないルールで全ての説明を付けようとする姿勢も好印象。

対象読者は非デザイナー系の学生や社会人と思われ、
「黄金比で要素を配置する」と言った様な
「そこまで時間を掛けられないよ、、、」と言う内容ではなく、
少しの作業で大きく見栄えが変わるものが紹介されている。

なにか資料を作成した後に、この本をパラパラと見返して
レイアウト等を修正すると、引き締まったものになるだろう。

■内容
・書体と文字の法則 (フォント、文字サイズの考え方)
・文章と箇条書きの法則 (行頭、行間、インデント、箇条書きの考え方)
・図形と図表の法則 (囲み、矢印、フローチャート、グラフ、表の見せ方)
・レイアウトと配色の法則 (余白、グループ化、揃え、強弱、繰り返し)
・実践 (ダメな例と、その複数の修正案)

 ※レイアウト修正を簡単に行うための Microsoft Office の
  機能も多々紹介されており、それもまた参考になった。
posted by Takashi Inoue at 05:24| Comment(0) | 書籍

2015年12月14日

書籍: 社会人1年生のための統計学教科書



統計学の基礎的な概念について、
数式をなるべく使わず、言葉で説明している一冊。

取り上げている題材自体は少ないが、それぞれが丁寧に説明されている。
他の書籍では見かけない説明方法も多くあるため、非常に参考になった。
顧客等に「不偏標準偏差とは何か?」といったことを、
数式なしで説明する必要が出た場合に特に有用だろう。

■内容
・統計諸量の解説 (平均値、中央値、標準偏差、分散etc)
・相関関係の解説 (散布図、相関係数、回帰分析、重回帰分析)
・区間推定/検定の解説 (正規分布、t分布を用いたもの)
・統計的意思決定の解説 (生命表と保険、疫学etc)

 ※ 初学者向けで、偏相関係数について取り上げているのは珍しい。
タグ:書籍 統計
posted by Takashi Inoue at 03:32| Comment(0) | 書籍

2015年12月07日

書籍: Rではじめるビジネス統計分析



統計分析のフリーソフト「R」の解説本

前半は、Rのインストール方法から始まり、基本操作、定番の解析手法(重回帰分析、主成分分析、因子分析、クラスター分析)の実行方法が紹介される。後半はそれらを使った分析の実例として、首相の所信表明演説をテキストマイニングする方法や、スマホゲームのユーザーログを解析して次の施策を提案する方法などが示されている。

分析手法の数学的原理や、Rの細かい文法の話は載っていないが、「Rでどんなことが出来るのか」「どんな形でビジネスに使われているのか」を知るにはとても良い。レイアウトが綺麗なため、ストレス無く読むことが出来る。
タグ:書籍 統計
posted by Takashi Inoue at 17:57| Comment(0) | 書籍