2015年12月30日

書籍: 星野リゾートの教科書



不採算ホテル・旅館を再生させることで有名な
星野リゾートの経営に関する一冊。

社長の星野佳路氏は、経営課題に直面するたびに
教科書となる経営書を探し、それに忠実に従うことで
乗り越えてきたという。

本書では、その実践方法と事例が紹介されている。


■サマリ

・ビジネスを科学する
 事例集ではなく、ビジネスを科学している書籍がある。
 事例を調査して、法則を見つけ出し、体系化して、検証しているもの。
 学問と実践を行き来している研究者によって書かれているもの。

・教科書に従うメリット
 ビジネスを科学している書籍に従えば、
 何も知らないで始めるよりも、遥かにリスクを小さくできる。
 そして判断の理由を明確に説明できる。行動に一貫性が出る。
 辛抱すべき時期を辛抱して乗り切れる。

・小さい会社ほど有効
 小さな会社ほど、理論に沿った大胆な転換がしやすい。
 経営リスクを減らす意義も大きい。

・本を探す
 ネット書店ではなく、実店舗で探す。
 平積みではなく、書店に一冊しかないような、枯れた本を見てゆく。
 目次と第一章を見て、現在の課題とマッチしているか判断する。
 
・本を読む
 持ち歩いて詳細部分まで何度も読み返す、
 付箋、マーカー、アイディアを書き込んでゆく
 読書メモは作らない(本の内容と乖離する)

・実践する
 教科書の内容を、詳細まで忠実に実行する。
 導入しやすい部分、都合のよい部分だけを使おうとしない。
 それでは成果が出なかったときに調整すべき方向が見えてこない。
 微調整は教科書通りをやり切ってから。
 社員にも教科書の内容を解説する。

・教科書に従った事例集
 星野リゾートが再生させた各企業について、
 その時に使った教科書と、適用の過程、結果などを紹介。
 戦略、マーケティング、リーダーシップ、教育、、、


■感想

事例を見ると、行き詰まっている企業は、
「頑張る方向性が見えない」という状況に見える。

そこに対して、向かうべき方向 = 経営書の内容 を示し、
それが組織に上手く浸透するように仕掛けを作る星野氏。
前者だけでなく、後者にも多くのノウハウがあると感じた。

さらに「課題が生まれてから書籍を探す」と言いつつも、
学生時代に出会った経営書を選択していることも多い。
普段から様々な経営書を読み、頭に栞(しおり)や
土地勘を入れておくことも重要だということだろう。
(最初はサラッと読んでおき、適用時は改めて詳細に読みこむ)

本書の中盤以降は、読んでいて強い高揚感があった。
旅館の支配人だけでなく、料理人や仲居さんが、
生き生きと働き、学問思考を育ててゆく様子は本当に楽しい。

MBAで学ぶ人たちを勇気づけてくれる一冊
 
posted by Takashi Inoue at 16:32| Comment(0) | 書籍

2015年12月26日

書籍: 医師国家試験のためのレビューブック



医学部勉強会にお邪魔した際に出会った一冊。
様々な症例、原因、治療法がまとめられている。

単純に読み物としても面白いが、私のような素人が
この本を読む価値は、病人・怪我人に対して、
妙な偏見を持たなくなることにあるだろう。
(ありもしない自分への感染経路を心配するなど)

また、民間療法やプラシーボ、
十分に検証されていない個人の体験談など、
怪しげな書籍・ネット記事が跋扈している中で、
「信頼性の高い情報源」「全ての医者が学んでいる定石」
という点にも価値を感じた。

当日もじっくり読んだが、購入して改めて読みたい。
 
※注意
 ここから得た知識を元に、素人が医師と議論するのは
 得策ではないと感じた。今回の勉強会を通して、
 医学部生がとんでもない量の知識・症例を学び、
 実地で経験を重ねていることを知ったため。
 
タグ:資格 書籍 医学
posted by Takashi Inoue at 06:00| Comment(0) | 書籍

2015年12月15日

書籍: 伝わるデザインの基本



Word, PowerPointで資料を作る際に、
気を付けるべき内容をまとめた一冊。

理系の研究者(非デザイナー系)が書いているためか、
感覚に頼った説明が少なくて分かりやすい。
少ないルールで全ての説明を付けようとする姿勢も好印象。

対象読者は非デザイナー系の学生や社会人と思われ、
「黄金比で要素を配置する」と言った様な
「そこまで時間を掛けられないよ、、、」と言う内容ではなく、
少しの作業で大きく見栄えが変わるものが紹介されている。

なにか資料を作成した後に、この本をパラパラと見返して
レイアウト等を修正すると、引き締まったものになるだろう。

■内容
・書体と文字の法則 (フォント、文字サイズの考え方)
・文章と箇条書きの法則 (行頭、行間、インデント、箇条書きの考え方)
・図形と図表の法則 (囲み、矢印、フローチャート、グラフ、表の見せ方)
・レイアウトと配色の法則 (余白、グループ化、揃え、強弱、繰り返し)
・実践 (ダメな例と、その複数の修正案)

 ※レイアウト修正を簡単に行うための Microsoft Office の
  機能も多々紹介されており、それもまた参考になった。
posted by Takashi Inoue at 05:24| Comment(0) | 書籍

2015年12月14日

書籍: 社会人1年生のための統計学教科書



統計学の基礎的な概念について、
数式をなるべく使わず、言葉で説明している一冊。

取り上げている題材自体は少ないが、それぞれが丁寧に説明されている。
他の書籍では見かけない説明方法も多くあるため、非常に参考になった。
顧客等に「不偏標準偏差とは何か?」といったことを、
数式なしで説明する必要が出た場合に特に有用だろう。

■内容
・統計諸量の解説 (平均値、中央値、標準偏差、分散etc)
・相関関係の解説 (散布図、相関係数、回帰分析、重回帰分析)
・区間推定/検定の解説 (正規分布、t分布を用いたもの)
・統計的意思決定の解説 (生命表と保険、疫学etc)

 ※ 初学者向けで、偏相関係数について取り上げているのは珍しい。
タグ:書籍 統計
posted by Takashi Inoue at 03:32| Comment(0) | 書籍

2015年12月07日

書籍: Rではじめるビジネス統計分析



統計分析のフリーソフト「R」の解説本

前半は、Rのインストール方法から始まり、基本操作、定番の解析手法(重回帰分析、主成分分析、因子分析、クラスター分析)の実行方法が紹介される。後半はそれらを使った分析の実例として、首相の所信表明演説をテキストマイニングする方法や、スマホゲームのユーザーログを解析して次の施策を提案する方法などが示されている。

分析手法の数学的原理や、Rの細かい文法の話は載っていないが、「Rでどんなことが出来るのか」「どんな形でビジネスに使われているのか」を知るにはとても良い。レイアウトが綺麗なため、ストレス無く読むことが出来る。
タグ:書籍 統計
posted by Takashi Inoue at 17:57| Comment(0) | 書籍

2015年12月01日

統計調査士、専門統計調査士の受験レポート(2015)

統計調査士、専門統計調査士を受験してきました。

統計調査士、専門統計調査士は日本統計学会の認定試験です。
調査"士"という名前は付いていますが、弁護士や司法書士の様な業務独占資格ではありません。
しかし近年のビッグデータ、IoTなどの流れもあり、受験者は増加しているようです。
(公式ページ: http://www.toukei-kentei.jp/ )


■受験のキッカケ

MBAの定量分析の授業で、以下の本が紹介されて
調査業務に興味を持ったのがキッカケです。



■試験内容

・統計調査士
 統計法、公的統計に関する知識(国勢統計、労働力調査など)
 公的統計の調査票の作り方、実際にデータを取る時の留意事項
 簡単なデータの読み取り
 
・専門統計調査士
 民間統計に関する知識、
 民間調査における調査票の作り方、データを取る時の留意事項
 ちょっと高度なデータの読み取り(重回帰分析、主成分分析など)

・統計調査士と統計検定の違い
 統計検定1級〜4級は「データを元に計算する」、
 統計調査士は「データの取りかた + 統計データの読み方」
 という解釈で良さそうです。
 
・難易度
 統計調査士は、理系であれば高校生でもイケるレベルだと思います。
 専門統計調査士は、大学1〜2年生くらいにならないと厳しそうです。
 (高校レベルの数学が理解できていれば大丈夫ですが、
 しっかり身につくのは大学受験以降だと思うので)


■教材

・教科書は存在しない (過去問 + 解説の書籍のみ)
 

・立教大学が試験対策コンテンツを提供している。
 https://csi.rikkyo.ac.jp/statistics_certificate/Home.aspx#toukei06
 
・僕は以下の書籍で学習した (立教大学のコンテンツを知らなかった)
 


■勉強の仕方

・統計調査士
 - 過去問の内容を押さえれば、合格点は取れる。
 - 公的統計は100種類以上あるので暗記するのは無謀。
  出題頻度の高い項目だけ押さえるようにする。
 - 調査系統に関する問題は捨てた方が良い。
  例: 省庁から都道府県を通して実施される調査はどれか
  これらは一貫したルールが無いので暗記するしかない。
 - 層化二段抽出法や、アンケート作成時の注意点などは以下に詳しい。
  

・専門統計調査士
 - 過去問の内容を押さえても、合格点までは行かないかも。
  2011〜2012年までは、統計調査士のちょっと難しい版という感じ。
  2013年からは、重回帰分析や主成分分析などが出題されるようになった。
  毎年新しいトピックが出題されている。
 - 問1は毎年時間を食う問題が出ているので、後回しにした方が良い。
 - 2014年までに出題された内容は、以下の本でカバーできた。
  


■感想

「受験してよかった!」というのが素直な感想です。
この試験のおかげで、独学にありがちな習得レベル
「理解できたけど暗記はしていない。必要な時にまた読み返そう」
を超えて、暗記してすぐに出せるレベルまで習得できました。

現在まだ試験結果は出ていませんが、もし不合格だったとしても、
相性が良い問題が出題されるまで毎年受験するのも良いかなと思ってます。
1年に1度、統計を振り返る機会があるっていうのも悪くないかな。
 
以上、今後受験される方に、ちょっとでも参考になりましたら幸いです。
 

※ 2015/12/22追記
統計調査士、専門統計調査士とも合格していました! 嬉しい!!
 
※ 2016/06/02追記
上位互換ページを作ってくださった方を発見!合わせてご参考にどうぞ。
http://liar.blog.jp/tag/%E7%B5%B1%E8%A8%88%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%A3%AB
 
posted by Takashi Inoue at 02:22| Comment(0) | 資格試験